「 彼女の愛情表現 」
薬売りさん。
薬売りさん。薬売りさん。
何時だって、ふわりと笑っている。
壊してしまいたい程、愛おしい人・・・
その可愛らしい口で紡ぐは、己の名。
愛おしくて堪らない。
「薬売りさん。」
不意に名を呼ばれ、顔を上げれば・・・直ぐ近くにあるの顔。
柄にも無くドキリと胸が高鳴った。
「薬売りさん、知ってた?」
俺の顔を・・・否、目を覗き込み心を透かすかの様に見つめてくる。
「なにが だ?」
そう聞き返してやれば・・・。
口角を上げて笑みを溢した。
「あのね・・・。」
ちょいちょい、と。
手で屈むよう促され、軽く腰を屈めた。
そして・・・。
小さな小さな可愛らしい声で紡がれた言葉は。
彼女の愛情表現
「私が薬売りさんの事だけ呼ぶのは。」「私なりの愛情表現なのよ。」「知ってた?」
彼女の愛情表現
END