「ねぇ?」













私の周りにいるクラスメイトや同年代の子たち。

にこやかに笑うあの人たちはなんて莫迦でなんて愚かしいのだろうか。

なにも考えていない莫迦な人たち。

表面だけ着飾って。

中身はハリボテ。

ボロボロで汚らしいんだ。

自分よりも能力の低い人を見つけては莫迦にし自分を優位に立てる。

莫迦な奴ほど上に立ちたがるんだ。

リーダーぶってまるで世界の中心にいるような顔をして。

勘違いも甚だしい!

身の程を知れ!お前らは莫迦なんだ!なんにも出来ないような屑な人間なんだよ!


でも・・・。

そんな人たちに笑顔で合わせている自分が一番愚かで莫迦な人間だ。







「ねぇ?先生もそう思いませんか?」

目の前で綺麗に脚を組む男。

色素の薄い軽いウェーブのかかった髪を一つに青色の紐で束ね、メガネをかけているこの男。

「だから・・・自分を傷つけるん、です、か。」

ドクリ。

先生の言葉に合わせる様に右手の傷口が疼いた。

「そうよ?悪い?気持ち悪くて耐えられないんですよ。」

「・・・。」

前を見れば真っ赤な夕日が白い保健室を朱に染めて、さらに私と先生を染めている。

「私。莫迦なんです。愚かしい人間なんです。・・・そんな人間いらないでしょ?」

さん。」

一歩。先生と私の距離が縮まった。

「なんです?」

下から睨みつける様に先生を見つめる。

刹那。唇に柔らかな感触。

「私は・・・さんを、いらない人間だ、と。思っていません・・・よ。」

突然のことに頭が付いていかない。

「・・・。」

ただ、抱き締めてくるこの男の心臓の音に安らぎを感じただけ。

「相当な物好きね。」

「そう、ですか?」

「うん。私よりも愚かで莫迦だわ。」

いつのまにか薄れた自分への嫌悪感。

貴方のおかげだね。先生。


















「好きになってあげる。」
その言葉こそが甚だしい。



































あとがき

薬売り、先生設定。
現パロみたいなものだとお思い下さい。