さむい・・・。
さむい、さむい、さむい、さむい。
「 寒い日は 」
寒さを感じて、ふと目を覚ます。
ふるりと身体を震わせて息を吐き出せば、真っ白。
「さむい・・・。」
頭まですっぽりと布団を被る。
暖かでふわふわな布団の感触。
もうそろそろ起きる時間かもしれない。
それでも、今日は外に出るのは無理だわ。
だって、いつも以上に寒いんだもの。
きっと甘えん坊のイヴェールだってそうに決まってる。
もしかしたら、ヴィオレットとオルタンスが手を焼いて起こしに掛かってるかもしれない。
そのうち私を呼びに来るかも・・・。
そう思っても中々、布団の中から出て行く事は出来ない。
まぁ、偶には・・・ね?
そう思ってもう一度眠りに着こうと目を閉じる。
ガチャリ
ふいに部屋に響くドアの開く音。
ヴィオレットとオルタンスかしら?
「?!」
急に布団の中に冷たい外気が入り込む。
声にならない悲鳴。
ぱちりと目を開ければ枕を抱えた
「・・・イヴェール?」
そう。布団を捲った犯人は、イヴェールだったのだ。
「イヴェール・・・どうかしたの?」
そう聞くと、イヴェールは無言で私の布団の中に入ってきた。
「ちょっとっ・・・つめたっ。」
そしてぎゅっと抱き締められた。
「イヴェール、冷たいよ。」
なんだか可哀想になって手を握る。
イヴェールの手はすごく冷たくて、心なしか身体全体が震えている様にも見える。
胸の奥がきゅっと締め付けられた。
だから、私もぎゅっとイヴェールを抱き締めた。
私は此処に居るよ。と、私は消えたりしないよ。と伝える様に。
「・・・あったかい。」
「イヴェールも暖かいよ。」
「monsieur・・・ここにいたのね。」
「ふふ、二人とも幸せそうね。」
一緒に寝たら暖かい。
ううん、貴方―イヴェールといるから暖かい。
「 寒い日は 」
貴方と一緒にぽっかぽか。